マーケティング視点とはすなわち、最終的な顧客を意識することに他ならない。
プロジェクトのゴールは顧客のビジネスに貢献することであるから、顧客の顧客に何を提供できるのか、何をしたら喜んでもらえるのかと考えることがぶれないゴールへの筋道となり、成功とは切り離せないのである。BtoBであろうがBtoCであろうが最終顧客(顧客の顧客)を意識することは、顧客ビジネスを理解し、顧客と共感・協調することにつながり、自らのプロジェクトに対するモチベーション・熱意を高めることにもなる。
昔、ベンダーのPMという立場で、企画提案からリリース・運用まで一気通貫で担当した大規模プロジェクトがあった。その顧客とはそれまでに取引はなく、さらに言えば顧客企業の業界や類似案件の経験すらなかった。たまたま問い合わせをいただいたことからスタートした競合案件。まずは最終顧客を徹底的に知ることからスタートし、200ページにも及ぶ提案書を書き上げた。競合相手は8社、情報サービス企業、IT企業、SIer等、名の通ったそうそうたる顔ぶれだったが、最終的に選ばれプロジェクトを任せていただくことができた。
後から理由を伺うと、マーケティングについて一番内容が充実しており、それが経営陣に響いたということだった。その際に「同じ船に乗る覚悟です。」とまで言っていただけたのが非常に嬉しく、今でも記憶に残っている。
要求とシステム、理想と実装はともすれば乖離してしまうことがある。それを回避し、うまくつなげるためにはシステム開発を担当する側にもマーケティング視点が必要なのである。特にWebシステム開発においては最終顧客へのアプローチを考えることが重要で、システムのインターフェース・構成、UIなど幅広い領域に影響を与えるのである。